主要心血管イベント(MACE)は心血管系臨床試験で広く用いられている複合エンドポイントで、心血管死・非致死性心筋梗塞・脳卒中などが含まれる(編集部注:内包する疾患群についての詳細な定義が緩やかに異なることはMACEの問題点で、試験結果の比較可能性を低めている)。MACEリスクのある患者を早期に特定し、適切な介入による予防を目指すAI研究が、オーストリア・グラーツ医科大学などの研究チームによって進められている。
Studies in Health Technology and Informaticsから7日公開されたチームの研究論文によると、MACE患者29,262人を含む128,000人以上の電子カルテ記録から機械学習アルゴリズムを導いたという。フィルタ法および組み込み法による特徴量選択により、モデリングに用いる826の特徴量を得た上で、ある時点から5年間のMACE発生を予測する複数の機械学習モデルをトレーニングした。ランダムフォレストモデルはAUC 0.88で、最高のキャリブレーションと識別性能を達成した。
研究チームはテストデータでの優れたパフォーマンスを強調しながら、「真の臨床的有効性を決定するには前向き研究の実施が不可欠」として、研究継続の意向を明らかにしている。なお、本研究に類似する先行研究として、本年1月にThe Lancetから公開されたこちらの論文が非常に示唆的である。関心のある読者は参照のこと。
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