Acerは台湾に本拠を置くPCメーカーで、世界シェア上位を維持する有力企業だ。過去には世界的なPCの販売低迷に伴う深刻な経営危機を迎えたこともあったが、2020年以降のコロナ禍においてPCの出荷台数は世界的に増加し、Acerも例外ではなく堅調な伸びを記録した。
Acerは近年、ヘルスケアセクターへの関心を強めている。2018年に子会社として設立したAcer Healthcareでは、医療AIに特化したプロダクト開発を進めており、2020年には台湾食品薬物管理局(TFDA)で初となる眼科用画像診断AIとしてのプログラム医療機器の認証に至った。糖尿病性網膜症を識別するこのAIソリューションは現在、台湾の5つの医療センターと主要な診療所群で導入され、実臨床を強力に支援している。さらに同製品はインドネシアでのライセンスも取得しており、グローバル展開の加速を狙っている。
また、医療者向けに抗菌材料で作られたモニターやキーボード、マウス、ノートPCを展開するなど、ヘルスケアマーケットへの強い関心を隠さない。OECD諸国において、対GDP比で平均10%強を占めるヘルスケアマーケットは、同社の次期成長戦略の要として注視されている。
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