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救急外来で心房細動治療が見過ごされないためのAIアプリ

心房細動治療では、脳卒中リスクを低減させるため抗凝固療法が必要となる。しかし、実際の現場ではガイドライン推奨の治療が行われず見過ごされたり、不十分な治療にとどまるケースが一定数存在している。米Lucia Health Guidelines社は、ガイドラインに基づくケアのための臨床意思決定支援ツールを開発している。

Lucia Health Guidelinesのニュースリリースによると、同社が開発した心房細動治療の意思決定支援アプリ「Lucia AFib App」の概念実証研究結果が、学術誌 Journal of the American College of Emergency Physicians (JACEP) Openに発表された。研究では、機械学習アルゴリズムで心電図から心房細動を検出するLuciaのアプリが、救急部の循環器専門医以外に対し、ガイドラインに沿った治療開始を推奨できたかを検証した。アプリによって、対象患者297人のうち98.3%に適切な治療を開始できたのに対し、アプリなし(従来型の医師単独判断)では推奨治療に至ったのは78.5%であった。

Lucia Health Guidelinesの共同創設者で心臓電気生理学者であるGilAnthony Ungab氏は、彼の父親が未診断の心房細動で脳卒中を患った経験をもつ。Ungab氏によると「機械学習には、専門家不在の場での臨床を補うことに大きな可能性がある。今回の結果は、ERの臨床家がポイントオブケアでこのアプリを使用し、心房細動の治療・管理を改善できることを示唆する重要な検証マイルストーンだ」と述べている。救急外来は、低所得者やサービスの行き届いていないコミュニティに住む多くの米国人にとって重要なアクセスポイントであり、患者が脳卒中の一次予防を確実に受けるためのキーサイトともなっている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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