スパイロメトリに代表される従来型の肺機能評価は、座位の取れない患者や適切に指示の入らない認知機能低下者、感染症患者など、そもそも施行が容易でないケースが少なくない。インド・テランガーナ州に所在する医療AIスタートアップのSalcit Technologiesは、多面的な肺機能評価を取り込んだAIプラットフォームにより、従来の呼吸機能検査を完全に代替することを狙っている。
同社の開発する呼吸機能評価プラットフォーム「Swaasa」では、体温や酸素飽和度、症状、咳嗽音を機械学習によって解析することで、より非侵襲的かつ簡便な肺機能測定を実現しようとする。また、インドで最も歴史ある医科大学であるアンドラ医科大学が主導し、プライマリーヘルスケアの現場におけるSwaasaの試用が開始され、2,000名の患者を対象に6ヶ月間に渡って臨床評価が行われる。
胸部レントゲンやCTを含め、既存の呼吸器検査は費用と時間がかかり、特に医療リソースの十分でない地域では現実的な評価手段ではなかった。肺疾患のスクリーニングにおける有効性を検証したのち、「スパイロメトリの完全な代替」という大きな野心をもって加速度的な研究開発が進められている。
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