ヘルスケアにおけるAIの急速な発達に関わらず、医師がAIに完全に代替されることはないと見る向きが強い。これは結果責任の所在といった法規制の問題や、AIの臨床的有効性の問題だけではなく、医療が本質的に対人コミュニケーションに大きく拠っているからでもある。ただし、AIを使える医師が、AIを使えない医師を代替する未来はそう遠くない。
World Economic Forumが5日報じたところによると、既に医師や医科学研究者にはAIに関連したコンピュータサイエンススキルの必要性が叫ばれており、臨床家向けのプログラムも実際に運用され始めているという。UCLやエディンバラ大学などの英国主要大学が中心となって開発した同種のオンラインプログラムは、実に大きな注目を集めている。
英コンサルティングファームPwCの報告では、患者サイドもヘルスケアAIに好意的な姿勢を持つことを明らかにしており、否定的であったのは全数の38%にとどまるという。作用機序を知らずして薬を処方できないのと同じように、アルゴリズムを正しく解釈できずにAIによる判断を盲信することは危険でもある。今まさに、医師に求められるスキルが大きく変容しようとしている。