人間の死をAIが定義・予測する時代

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医療のあらゆるプロセスのなかでも、人の死というフェーズには最大限の敬意が払われ、常に尊厳に満ちたものであるべきだと広く考えられてきた。近年、AIは人の死期を予測し(過去記事)、また脳死判定を高精度に行うなど、AIが人間の死を予測・定義する時代の到来さえ予感させている。

Medical News Todayの報道によると、慢性疾患罹患に伴う死亡リスク予測を、個人・環境因子まで含めた機械学習アルゴリズムで検討したStephen Weng氏は、予防医学領域へのAI利用として成果の重要性を強調している。一方、米WIREDは記事中で「AIは人の死を予測し得る。だがもし、アルゴリズムがバイアスを持っていたら?」と潜在的な問題点を問う。特にアルゴリズムのトレーニングデータセットに含まれない人種・民族・性別などにおいて、著しく偏った結果を示すことはこれまでもしばしば問題視されてきた。

医師であり、ヘルスケアにおけるAIについての執筆で世界的に知られるEric Topol氏は、米TIME誌のインタビューで「アルゴリズムは偏らない。ただし、人がアルゴリズムに投入するデータは偏る可能性がある」とし、ヘルスケアAI開発に対する一定の基準確立を求め続けている。人の死さえAIが取り扱う時代、もはや避けて通れない議論が目の前にある。

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TOKYO analytica
TOKYO analyticaは、データサイエンスと臨床医学への深い造詣を武器とし、健康に関するあらゆるモノ・コトのエビデンス構築・普及をお手伝いするメディカルコンサルティングプロジェクトです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. M.Okamoto MD, MPH, MSc
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。専門はメディカルデータサイエンス。ロンドンでのベンチャーエンジニアを経て、英国内の大学で医療データベース研究に従事。

2. T.Sugino MD
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。