AI関連技術の発展もさることながら、通信環境の劇的な向上を背景として、医用画像・臨床データのクラウド保存や医療機器のIoT化は急速に進もうとしている。今後、医療現場がサイバーアタックの脅威に曝される機会が増すことには、もはや一切の疑いの余地がない。
英ヘルスIT系メディア・Digital Health Newsの報道によると、英国民保健サービス(NHS)が展開する現行のシステムにおいても、特にIoT化されたデバイスがサイバーセキュリティ上の深刻な脆弱性を持つという。外部機関に委託して行われた検査では、特定の超音波診断装置に容易な不正アクセスができ、画像データベースの完全な抽出ができてしまったとのこと。未だにWindows 2000をOSとして利用しており、最新のソフトウェアアップデートが受けられない状態にあった。
医療情報は究極の個人情報でもあるため、その漏洩は深刻な問題となる。さらに、診断・治療に関わるような情報の改ざんは直接的に個人の生命に影響を与えるため、その種のサイバーアタックを看過することは決してできない。一方、医療者およびシステム管理者側も相応のITリテラシーを持ち、技術向上に応じた知識のアップデートを随時行う姿勢を持つことも当然欠かせない。