医療機関内における静脈血栓塞栓症(VTE)について、小児の罹患率増加が問題となっているが、高リスク者の特定は依然として容易ではない。米ヴァンダービルト大学モンローカレルジュニア小児病院の研究チームは、大規模な後ろ向きコホートを利用し、小児VTEのリアルタイムリスク予測モデルを開発し、その有効性を検証した。
このほどPediatricsから公開されたチームの研究論文によると、同院に入院した11万症例を超える入院データを利用し、潜在的な危険因子と院内でのVTE発症との関連を推定した。予測モデルにはシンプルなロジスティック回帰が用いられ、11個の臨床変数から入院中のVTE発症を予測したところ、導出コホートからC統計量 0.908と高い識別精度を示していた。また、4.4万症例以上からなる検証コホートにおいても、C統計量 0.904とその精度は保たれていた。なお、VTE発症に強く関連する因子としては、血栓症の病歴や心疾患の存在が明らかにされている。
研究チームは「高リスク者の早期発見によって予防的介入が増加し、小児の院内VTEを低下させることができる」ことを強調する。また、本研究は2年目となるヴァンダービルト人工知能研究所(AVAIL)の助けによって実現されている点も特色である。
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