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Suki社のAIアシスタント – 家庭医の文書作成負担軽減を米国家庭医学会と共同検証

医療現場における文書作成の事務的負担は、医師の燃え尽き症候群(バーンアウト)を起こす主要な要因となることが各種の研究で示されてきた。先行研究には「医師の約55%が出勤時にバーンアウトを感じている」との報告もある。昨今急速な発展を続けるAIアシスタントには、それら文書作成に対する負担解決への期待が高まっている。

米国家庭医学会(AAFP)は、音声認識AIアシスタントを開発する企業「Suki」との提携で、家庭医の文書作成負担軽減を検証する研究を行ってきた。AAFPの15日付リリースによると、研究のフェーズ2において大幅な負担軽減効果が示されたことを報告している。その成果として、研究に参加した家庭医・プライマリーケア専門医における文書作成時間が、中央値で72%減少したという。また、臨床医1人あたりにして週3.3時間の時間短縮、さらには仕事量と診療に対する満足度の有意な向上が報告されている。報告の詳細についてはホワイトペーパーで公開中である。

Suki社の主力製品「Suki Assistant」は、自然言語処理と機械学習の基盤技術から構成され、文章作成に関わる事務作業時間を平均76%短縮できるという性能を謳ってきた。AAFPとの共同研究は今後フェーズ3に入り、これまでの成果について多くの家庭医の間で認識を高めることに重点を置いていく。医師の働き方を脅かすバーンアウトを回避するため、AIアシスタントの存在感は今後ますます高まっていくだろう。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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