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ExoNet – コンピュータビジョンとAIで外骨格ロボットを自律制御

身体的障害を持つ人の自力歩行を助けるため、ロボット外骨格(Exoskelton)技術の研究開発が進められてきた。有望なウェアラブル技術と捉えられているものの、実社会への実装には課題が山積している。現時点での技術の限界に対処するべく、カナダ・ウォータールー大学の研究チームは、コンピュータビジョンとAIを組み合わせ、自律的に外骨格ロボットを制御するシステム「ExoNet」を開発している。

従来のウェアラブルロボットは、スマフォアプリや操作スティックによる手動制御、目的の運動量選択など、人が考えてロボットを制御する認知的負担が大きかった。制御システムExoNetは、環境状態をカメラで捕捉し、AIアルゴリズムによる自動識別・分類によって階段などの地形情報を認識したり、障害物を回避するために次の動作を予測したりすることができる。これによって、人間が介入する認知的負担を有意に軽減し、ロボットが自ら考えて制御できるようになったとする。ExoNetに関する研究論文は IEEE Transactions on Medical Robotics and Bionics誌に掲載されている。

ウォータールー大学のインタビューによると、開発を主導するBrokoslaw Laschowski氏は、パラリンピックスポーツの研究者としてカナダナショナルチームの車椅子選手と共に仕事をする中で、ヒトのバイオメカニクスとエンジニアリングデザインへの情熱を交差させることができたという。Laschowski氏は「いつの日か、ウェアラブルロボットを使って歩く人々を見て、ウォータールーのドリームチームがそれを作る手助けをしたんだと思いたい」と語っている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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