COVID-19パンデミック初期を仔細に分析した新研究によると、外科診察を必要とした患者において、白人に比べて黒人の方が「遠隔診療をより積極的に利用」していたという傾向が明らかにされた。研究成果はJournal of the American College of Surgeonsから、このほど公開されている。
米ハーバード・メディカル・スクールの研究チームが主導した本論文によると、著者らが「フェーズI」と呼ぶ2020年初期においては、人種・民族と診察方法との間に明らかな関連性はみられなかったという。一方、2020年6月24日から年末までに相当する「フェーズII」においては、黒人外科患者は白人患者よりも有意にバーチャル受診する傾向があり、さらに、女性外科患者は男性患者よりもその傾向が強いことを示していた。同様に、高齢患者、教育レベルの低い患者、英語が母国語でない患者は、この期間中に遠隔診療を利用する割合が低くなっていた。黒人患者に関するこの新知見について「有色人種コミュニティのデジタル医療へのアクセスを拡大するための制度的努力があったこと、また、この集団において存在する”対面医療への不釣り合いなアクセス障壁”、などを反映しているのかもしれない」と考察する。
また、著者らは「医療体制が新形態に移行するなか、デジタルデバイドや社会的弱者に対する構造的差別は、今後も外科医療へのアクセスを損ない、遠隔医療利用における不公平を生む可能性がある」と指摘する。デジタルリテラシーやテクノロジーへのアクセス、バーチャルプラットフォームを通じて医療者と効果的にコミュニケーションする能力が、今や重要な「健康の社会的決定要因」にさえなろうとしている。
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