「網膜の細い血管における変化が血管疾患の指標になる」という認識が進み、目のスキャンによって、冠動脈疾患を含む心血管疾患を特定する試みが盛んになってきた。英リーズ大学のグループは「網膜スキャンで心筋梗塞を予測する研究」を主導し、心疾患の日常的なスクリーニング手法としての技術応用を追求している。
Nature Machine Intelligence誌に発表された同研究では、網膜スキャン画像から「1年以内の心筋梗塞発症リスク」の高い患者を特定する深層学習モデルを構築した。本研究では網膜画像と最小限の臨床データを組み合わせ、左室心筋重量と左室拡張末期容積を推定し、心筋梗塞発症を予測している。AIシステムの精度はAUC 0.80・感度 0.74・特異度 0.71で、その後の精査につながるスクリーニング用途として利用できる可能性が示された。
リーズ大学のインタビューに対し、本研究を監修したAlex Frangi教授は「この技術は心疾患のスクリーニングに革新をもたらす可能性を秘める。網膜スキャンは比較的安価な手法で、眼鏡店でも日常的に使用されている。自動化スクリーニングによって特定された高リスク患者は、専門サービスの受診につながっていくだろう」と語っている。
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