胎児頭蓋内奇形は神経発達や認知機能に影響を及ぼす可能性があり、出生前の早期発見が重要である。しかし、超音波検査の検出率は検査者の技量や経験に大きく依存しており、従来のAI研究も既存の画像を用いた後ろ向き検証が中心であった。こうした課題を背景に、中国の研究チームはAI支援による胎児頭蓋内奇形の検出精度向上を検証するため、多施設共同ランダム化比較クロスオーバー試験を実施し、その成果をThe Lancet Digital Healthに発表した。
中国の5施設において、妊娠11~32週の胎児奇形リスクが高い単胎妊娠を対象に、経験3年以上8年未満の超音波検査技師29名が、AI支援システム「Prenatal Ultrasound Diagnosis Artificial Intelligence Conduct System(PAICS)」を用いた場合と用いない場合を比較した。2022年から2023年に実施された1,584件の検査を解析し、専門家パネルによる超音波動画の評価を基準診断とした。軽度脳室拡大や脳室内嚢胞など、AIが検出対象とする頭蓋内奇形10種類について、胎児単位の解析では感度が78.6%から87.3%に上昇し、特異度は96.0%から96.9%となり、非劣性が示された。奇形ごとの解析でも感度は69.6%から81.4%に上昇し、特異度は99.4%から99.5%で非劣性が示された。
本研究は、AIを実際の出生前超音波検査に導入し、検査者の診断精度を向上させる効果を多施設共同ランダム化比較試験により検証した点に意義がある。研究者らは「今後は、AIによる検出対象の胎児奇形を拡大するとともに、一般妊婦を対象としたスクリーニング集団において、その有効性を検証する必要がある」と指摘している。
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