Apixio – 保険者による支払承認を自動化するAIシステム

米カリフォルニア州サンマテオに本拠を置く医療分析企業であるApixioはこのほど、保険者による医療費支払いに関して、その事前承認を自動化するAIシステム「Apicare AuthAdvisor」の発売を公表した。AuthAdvisorは過去の判断データに基づき、支払者や医療給付マネージャ、その他ベンダーの承認を自動化することで、数日ではなく数秒での判断を実現し、手動による審査に対して50%以上の経費削減を達成するとしている。

Apixioが明らかにしたところによると、これまで事前承認の完了にかかるコストは手動トランザクションあたり13.40ドル、部分的電子ウェブポータルトランザクションあたり7.19ドルと、ヘルスケア業界にとって大きな負担となってきた。また、手作業による審査は時として数日~数週間を要することもあり、管理上の負担が大きいばかりか、患者の治療を遅らせたり治療の妨げになるなど、臨床結果に悪影響を及ぼす可能性も指摘されてきた。AuthAdvisorでは、AIモデルによって不必要なレビュー量を軽減するとともに、コスト削減を推進するユーザにとっては「手順ごとにその閾値を調整」できるため、業務量対コストのバランスを個別最適化することができる。また、APIとして提供される同システムは、既存ワークフローに速やかに導入可能である点も強みとする。

ApixioのCEOであるSachin Patel氏は「医療提供側の最も負担の大きい側面の1つをクリアするための、データサイエンスの新しい利用方法だ」とした上で、「AuthAdvisorシステムは透明性が高く、幅広いカスタマイズが可能なため、ユーザが自信を持って判断できる可視性と柔軟性を備えている」と、プロダクトの質に自信を示す。

関連記事:

  1. ウォルマート – AIによる社員向け健康管理システムを導入
  2. ヘルスケア幹部の4人に3人が「管理プロセスの自動化でAIを信頼」
  3. Nym Health – 医療コーディングの自動化プラットフォーム
  4. 患者が抱く「医療AIへの6つの想い」
  5. MayaMD – AIヘルスアシスタントが「臨床医を超える正確なトリアージ」
TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事