インシデントレポートを自動分類するAIシステム

英国では医療の質向上のため、現場で起こったあらゆるインシデントを政府に報告する義務がある(patient safety incident report)。ただし、この報告書は大部分が自由記述形式で提出されるため、その量の多さと相まって適切な解析が行われているとは必ずしも言い難かった。英カーディフ大学の研究チームは、これらレポートを自動解析するAIシステムを解析し、公表した。

Health Informatics Journalに7日公開された論文によると、研究チームは、プライマリケアの現場から報告された3万を超えるレポートから、今回のアルゴリズムを構築したという。AIによる自然言語処理で、インシデントのタイプや傷害の重篤度などを識別することができる。現時点で人手による分類能を超えていないが、スクリーニングツールとしての利用価値を強調している。

医療におけるインシデントの予防・再発防止策は、各医療機関のPDCAに委ねられていることが多い。一方、英国民保健サービス(NHS)が行うような、大規模なレポートの集積と解析結果の公表は、効率的なインシデント予防策の立案に結び付けられる可能性が高い。AIによる解析補助が、インシデント対策のさらなる向上をもたらすか、注目が集まっている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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