医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例医療AIがもたらす影響・問題点医療における人工知能の可能性とピットフォール

医療における人工知能の可能性とピットフォール

医療分野においてAIは急速な広がりを見せる。画像診断をはじめとして、ハイリスク者抽出による予防、個別化された治療法選択、高精度な予後予測まで、あらゆる医療のステージにその可能性を強く示しており、多くの医療者は期待と疑念を併せ持って事態を静観している。

最近の報告によると、医療者の90%は「AI技術が患者体験を改善する」と考えているという。一方で、AIには明確な問題点が複数内在し、この概要は権威ある学術誌・JAMA(米国医師会雑誌)が3日報じたインタビュー記事に詳しい。このなかで、Robust AIのCEOであるGary Marcus氏は独自の視点に基づく医療AIの可能性と問題点を指摘する。どれだけ研究デザインに配慮したとしても常に一般化可能性は制限されており、あらゆる場面に有効なAIの構築は現時点で困難であることを主として訴える。データセットにない「特殊なケース」への対応の難しさや、AIが「できないこと」を明確化する手段がない現状にも触れている。

同氏は「問題の解決にAIが投入された時、市民は歓喜の声をあげるが、AIは奇跡的な治療法といった種のものではない」と警鐘を鳴らす。AIの問題点を正確に捉えた上で、この技術をどのように世界に持ち込むか、医学を抜本的に向上させるAIとするには現実的に何が必要かを慎重に考える必要があるだろう。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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