シンガポールにおける3つのナショナルヘルスクラスターの1つ、National University Health System(NUHS)はこのほど、政府が支援するNational Supercomputing Centre Singaporeと協力協定を締結し、2022年半ばまでに公的医療機関におけるAIプログラムを支援する「スーパーコンピューティング・インフラストラクチャ」を構築することを明らかにした。
NUHSが3日明らかにしたところによると、PRESCIENCEと呼ばれるスーパーコンピューティング・インフラストラクチャは、患者個々の病状変化を予測し、深刻な変化が起こり得る可能性を事前に医療者にアラートするAIモデルを構成する。NUHSの最高技術責任者であるNgiam Kee Yuan博士は「ビッグデータを使ってAIモデルを訓練するには通常数日かかるが、この新しいスーパーコンピュータを使えば、トレーニング時間を数時間に短縮できるとともに、医療スタッフやパラメディカルスタッフによる患者管理を最適化することで、本質的なケアの質を向上させることができる」と述べる。
NUHSは通信大手のSingtel社とも提携を公表しており、同機関内の手術室や病棟にマルチアクセスのエッジ・コンピューティング機能を備えた5G屋内ネットワークを展開するなど、AIを核とした医療のデジタルイノベーションを急速に推し進める。アジアにおける先進事例のひとつとして、今後の成果にも期待が大きい。
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