医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例医療AIがもたらす影響・問題点米スタンフォード大 - 個人情報を保護する堅牢なシステムで眼科診断AIを運用

米スタンフォード大 – 個人情報を保護する堅牢なシステムで眼科診断AIを運用

AIの臨床応用には膨大な量の個人医療データが取り扱われる。そのため、ゲノム情報や電子カルテ記録などの重要な機密情報の漏えいリスクは、常に危惧されている。

MIT Technology Reviewによると、個人情報を強力に保護しながら医療データをAIアルゴリズムのトレーニングに提供できるプラットフォームの運用が、スタンフォード大学医学部を中心に始められた。カリフォルニア大学バークレー校発のスタートアップOasis Labsのアプリを通じて、眼科検査結果と健康記録データが提出されると、データと個人情報が紐付けられずにクラウド上に保管される。その後、第三者がそのデータをAIアルゴリズムに対して安全に適用することができる。ブロックチェーン技術が応用されたこのシステムによって、患者はプライバシーを保護しながら医療データの提供が可能となり、ひいては自身もAI技術の恩恵を受けられるようになるという。

医療現場へのサイバーアタックの脅威(過去記事)のように、デジタル化された個人の医療情報が悪意を持って抽出される可能性が高まっている。医療用AIの臨床現場への普及にあわせて、強力なセキュリティ技術の発展も課題となるだろう。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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