AIとロボティクスが創る内視鏡検査の未来

消化器内視鏡検査は、組織の性状を直接観察できるため非常に情報量の多い検査のひとつである。また、必要な場合には診断や治療を目的として、その場で組織を切り取ることさえできる。ただし、施行部位を問わずその痛みや不快感は多大で「低侵襲な検査」とは言いがたい。今回は、AIとロボティクスによる消化器内視鏡検査の未来を紹介する。

学術誌Science Roboticsに掲載された論文によると、英リーズ大学を中心とした研究チームは、磁気を利用した小型カプセルロボットを消化管モデル内で適切に誘導することに成功したという。この小型カプセルには、磁石・LEDライト・超音波トランスデューサー・カメラが組み込まれ、消化管モデル内壁の構造を外部コンピュータに転送できた。特筆すべきは、カプセルの操作には専門的技術を要さないこと、AIを利用した適切な部位の撮影および移動ルートの確保を実現していること、などが挙げられる。

本研究での消化管モデルは豚などが用いられ、現時点で動物実験の域を出ないが、人体に対する技術的応用は困難ではない。Becker’s Health IT & CIO Reportの報道では、研究を率いたSandy Cochran教授の言葉として「近い将来、この技術が日常診療レベルに取り込まれ、消化器疾患の早期発見とモニタリングに使われることを望んでいる」と述べた。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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