AmazonやFacebook、GoogleといったテックジャイアントはAI急進時代の今、アジアの拍動を感じ、熱い視線を送り続けている。単なる市場規模の大きさだけでなく、価値あるAIツールやサービスを数多く生み出すだけの土壌がそこにあるからだ。そういったなか、大学評価機関として知られる英Quacquarelli Symonds(QS)社が行った、アジア学生に対するAIへの意識調査結果を紹介する。
QS社による調査は、20のフォーカスグループと50以上の個別インタビューを通し、アジアの5都市(ジャカルタ・クアラルンプール・台北・上海・北京)に住む学生は「AIが世界的な労働市場に及ぼす影響」をどう考えているかを明らかにしている。主要な調査結果は下記の通り:
1. 66%の学生は「2030年までにAIが高度専門職をこなせるようになる」と考えている
2. 一方で、最もAIを脅威と捉えて”いない”のは「医学・ヘルスケア領域」を専門とする学生
3. 「数年のうちにAIが高度専門職を置き換える危機感」を持っているのは北京(72%)・ジャカルタ(68%)・台北(65%)の学生に多い
高等教育における専門選択や、その先の職業選択において「AIの存在とこれによる代替の可能性」を常に意識する現代の学生像が明らかにされている。また、対人に根差す医療の本質と生に対する責任の所在から、医学・ヘルスケア領域において職業代替の危機感が他領域ほどは高くないことも現実的かもしれない。ただし、10年後の医療が新技術による激変を迎えている可能性は非常に高く、ここに携わる者の学び続ける姿勢がこれまで以上に求められていることだけは間違いない。
過去記事: 「AIの普及により放射線科医を目指さない医学生が増加」