アスリート達のパフォーマンス向上のため、ウェア・靴・コンディショニング・ウェラブルデバイスなどに先端技術が駆使されている。ときにそれらは飛躍的な記録更新に貢献し「テクノロジー・ドーピング(technological doping)」に相当するとみなされて大きな議論を引き起こす。
South China Morning Postでは、東京2020オリンピックにおいてテクノロジーを活用するアスリートの事例が特集されている。特にウェアラブルデバイスは前回オリンピック以降さらに進化を遂げ、選手達の心拍数データや身体の動きをAIによって解析することで、最適なトレーニングやコンディショニングの実現が模索されている。アスリートが市場で合法的に提供されている技術を活用するのは当然の権利であるという意見の一方で、高度なスポーツテクノロジーの利用が、資金力のある国のチームと発展途上国のチームとの不平等を悪化させているという見方もある。
Speedo社の競泳水着やNike社のランニングシューズが驚異的なパフォーマンスを発揮して規制の対象となったように、今後も各種新技術導入に伴うスポーツイノベーションと一定のレギュレーション追加が繰り返されることは疑いようもない。カナダのレジャイナ大学でバイオメトリクス学の教授を務めるJohn Barden氏は「アスリートで検証されたウェアラブル技術が、高齢者の歩行リスクの評価に役立つ将来性を示すなどしており、スポーツ科学の向上が社会に多くの利益をもたらすことを期待している」と語っている。
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