ヘルスケアにおけるAI利用が急速に拡大する一方、テクノロジーの安全性や信頼性に不安を抱く人々もいる。米メイヨークリニックの研究チームは、患者集団で構成される複数のフォーカスグループによって得られた成果をまとめ、このほどnpj Digital Medicineから公開した。
本研究論文では、ミネソタ州とウィスコンシン州のメイヨー・プライマリーケアの患者名簿から募集した男性44名および女性43名を対象として、15のフォーカスグループを形成、その議論の結果をまとめている。これによると、医療AIに関する患者意見のほとんどが「6つの明確なテーマ」に分類できるとのこと。1. 医療AIへの期待と安全保証の要求 2. 「医師がAIの安全性を確保すること」への期待 3. 選択と自律性の保持 4. 医療費・保険に関する不安 5. データの整合性確保 6. テクノロジー依存への危機意識 となっている。
特に5. データの整合性については興味深い視点で、つまり自身のカルテに「不正確な表記や明確な矛盾」が含まれていることを認識しており、これをAIに「事実」として伝えることで誤った治療選択など、健康上の不利益を被ることを恐れているという。これは、人間の医師であればコミュニケーションによってある程度不都合を回避できる曖昧さや不正確が、AIでは許容されない可能性を認識していることも意味する。真に有益で信頼性の高い医療AIシステム構築に向け、種々の示唆を与えてくれる研究成果と言える。
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