患者が抱く「医療AIへの6つの想い」

ヘルスケアにおけるAI利用が急速に拡大する一方、テクノロジーの安全性や信頼性に不安を抱く人々もいる。米メイヨークリニックの研究チームは、患者集団で構成される複数のフォーカスグループによって得られた成果をまとめ、このほどnpj Digital Medicineから公開した。

本研究論文では、ミネソタ州とウィスコンシン州のメイヨー・プライマリーケアの患者名簿から募集した男性44名および女性43名を対象として、15のフォーカスグループを形成、その議論の結果をまとめている。これによると、医療AIに関する患者意見のほとんどが「6つの明確なテーマ」に分類できるとのこと。1. 医療AIへの期待と安全保証の要求 2. 「医師がAIの安全性を確保すること」への期待 3. 選択と自律性の保持 4. 医療費・保険に関する不安 5. データの整合性確保 6. テクノロジー依存への危機意識 となっている。

特に5. データの整合性については興味深い視点で、つまり自身のカルテに「不正確な表記や明確な矛盾」が含まれていることを認識しており、これをAIに「事実」として伝えることで誤った治療選択など、健康上の不利益を被ることを恐れているという。これは、人間の医師であればコミュニケーションによってある程度不都合を回避できる曖昧さや不正確が、AIでは許容されない可能性を認識していることも意味する。真に有益で信頼性の高い医療AIシステム構築に向け、種々の示唆を与えてくれる研究成果と言える。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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