米イリノイ州に所在するノースウェスタン大学の研究チームは、合成波長ホログラフィ(SWH)と呼ばれる新技術を開発し、障害物のある領域であっても46マイクロ秒以下で対象空間を描写することを実現した。これは6x6cmのプローブを用い、「散乱光の戻り」をモニターするという仕組みを持つ。
Nature Communications誌にこのほど掲載されたチームの研究論文によると、この小さなプロービングエリア故に、内視鏡やキーホールによるイメージングに応用できるとしている。実際、新技術の持つ高い空間分解能によって、頭蓋骨を介した血管の非侵襲的イメージングの実現にまで言及している。また、経時的処理が容易であることから、胸部からの不整脈検出など、通常体表外から観察のできない臓器の「動き」を描写し、新しい疾患スクリーニングと評価を実現する可能性もある。
現時点でチームは可視光または赤外線を利用しているが、原理自体は非常に汎用性が高く、他の波長に拡張することも難しくない。したがって、同種の方法を電波に適用することでは、宇宙探査や水中音響イメージングに応用することもできると考えられ、活用範囲は医学を超えて広範なものとなることが期待されている。
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