電子カルテ情報に基づくAI解析により、心臓突然死を予測できる可能性のあることが、フランス・パリ大学の研究者らによる予備研究で示された。
本研究は、11月11日から12日にかけてフィラデルフィアで開催される「蘇生科学シンポジウム2023(米国心臓協会主催)」で公表される。研究チームはパリ・シアトルの臨床データベースを利用しており、突然の心停止で死亡した25,000人と一般集団の70,000人についてを解析している。このデータには、100万件以上の診断と1000万件以上の薬剤処方を含み、各死亡の10年前までの医療記録が収集されている。研究者らは、心臓突然死のリスクが非常に高い人々を特定するため、パーソナライズされた因子を持つ多数のモデルを構築した。さらに、研究対象者一人ひとりにカスタマイズされたリスクプロファイルを作成したという。検証では、心臓突然死症例の4分の1以上を占めるハイリスク者を、特に高精度に特定していた。
予測モデルを他国・他地域で利用する際にはその汎化性能が未知であること、電子カルテで収集された医療データには、生データではなくプロキシが含まれること、などが研究の限界として挙げられるが、チームは「パーソナライズされた危険因子リストによって、患者が臨床医と協力してそれらの危険因子を低減し、最終的に心臓突然死の可能性を減らすことができるようにすること」を目指す。
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