HR+/HER2−乳がんでは、術後5年を超えて遠隔再発する症例も少なくない。従来広く用いられてきた21遺伝子Recurrence Score(RS)は遠隔再発リスクの評価に有用である一方、特に5年を超える晩期再発の予後予測能力には限界がある。そこで、米国の研究チームは早期および晩期の双方の遠隔再発リスク予測精度向上を目的に、病理画像、分子情報、臨床病理学的情報を統合したAIモデルを開発し、その成果をnpj Breast Cancerにオンライン先行掲載した。
研究では、TAILORx試験の4,429例を対象に、2,808例をモデル開発に、1,621例を独立した検証に用いた。モデル「IICM+」は、年齢、腫瘍径、組織学的グレードなどの臨床病理学的情報に加え、RNAシーケンシングによる遺伝子発現情報およびヘマトキシリン・エオジン(H&E)染色された病理画像から得られる特徴を統合した。病理画像は、細かな領域ごとの特徴と病理標本全体から得られる情報の双方を解析した。独立検証では、遠隔再発全体のC-indexは0.735、5年以内の早期再発では0.791、5年以降の晩期再発では0.710であり、IICM+は21遺伝子RSと比較して高い予後識別能を示した。
本研究は、病理画像、遺伝子発現、臨床情報を統合することで、早期再発だけでなく晩期再発も含めた個別の再発リスクを評価できる可能性を示した。特に、21遺伝子RSで低リスクと評価された患者の一部を、AIモデルによって異なるリスク群へ再分類できた点は、従来のリスク評価を補完する可能性を示している。研究者らは「今後は、このようなマルチモーダルAIモデルが、治療強化や内分泌療法の延長、その他の晩期再発予防戦略の対象患者選定に実際に有用であるかを前向きに検証する必要がある」と述べている。
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