AI導入が年間医療費を3600億ドル削減

マッキンゼーとハーバード大学の研究者らによる新しい報告によると、AIが医療においてさらに広く採用された場合、米国では年間最大3600億ドル(46.8兆円)を節約できる可能性があるという。

レポートの中で研究者らは、AIの広範な採用により医療費の5-10%、すなわち年間およそ2000-3600億ドルの節約につながると推定する。驚くべきことに「この試算は今後5年以内に達成可能」としており、医療の質やアクセスを犠牲にすることなく、現実に存在する技術によって実現可能な試算という。民間支払機関は総コストのおよそ7%から9%を削減でき、今後5年間で800億ドルから1100億ドルの年間コスト削減、病院は4%から11%で、年間600億ドルから1200億ドルの節約になると報告書は推定する。

ヘルスケアにおけるAIの潜在的なメリットや、この分野での資金調達の高まりにも関わらず、医師による臨床利用はまだ限定的となる。一方で、食品医薬品局(FDA)は医療用AIツールの認可を加速させており、2022年11月時点で520以上のデバイスを認可している。実環境におけるAIの有効性に関するより多くのエビデンスが顕在化しており、2023年が医療AI導入の変曲点になる可能性がある。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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