心臓エコー検査の技術進歩により、近年では立体画像としての撮影・描写が可能となってきたが、長時間の息止めが必要など明確な弱点がある。カナダ・アルバータ大学のチームは、短時間の息止めを複数回行っている間に異なる角度から画像を撮影することで、独自アルゴリズムによる画像の位置合わせと融合を経て、正確な3D超音波画像を作成する研究を行っている。
アルバータ大学のニュースリリースでは、Ultrasound in Medicine & Biologyに発表された最新研究を紹介している。ペースメーカー装着済みの心不全患者を対象に検証された「多視点三次元融合心エコーシステム」では、息止めが困難な患者群でも適切に融合された3D画像を得た。これにより、心内膜の境界線を定義するプロセスが改善され、結果として造影剤を使用するコントラスト心エコーと比較しても同等以上の左室機能評価ができたという。
新システムの利点には、従来の心エコーと比べて1回の検査に要する時間が約30%短縮された点も挙げられている。研究グループのBecher教授は「私たちの目的は、患者の待ち時間を短縮し、正確で信頼性の高い画像検査へのアクセスを改善することにある。この技術は今後、心臓MRIや心臓CTの必要性を減らせると確信している」と語る。グループは5年以内に広く臨床利用されることを目標として、同システムの改良を進めている。
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