リアルタイムでのデータ管理と記録は、あらゆる疾患治療に重要となる。一方で、適切な形式でのデジタル出力に対応しない「旧式の医療機器」が、実際の臨床現場で多く使われている現実がある。カナダ・マニトバ大学の研究チームは、一般的なウェブカメラとコンピュータビジョンによる光学式文字認識を用い、旧式の薬注ポンプ(薬液を正確に定量送液するための点滴用機材)からデータ抽出を行うことができるという研究成果を公表した。
Frontiers in Big Dataからこのほど公開されたチームの研究論文によると、一般的なウェブカメラと無償利用可能なソフトウェアを利用することで、薬注ポンプのリアルタイム画像からデジタルテキストを生成するスクリプトを作成したという。取得した薬理データは、他の生理学的データと一塊にして患者モニタリングソフトウェアに転送することで、従来技術的限界のために個別チェックが必要であった旧式機器を効果的に臨床ワークフローに取り込むことに成功している。
著者らは「この種の技術利用で、ベッドサイドチャートでの人為的ミスを排除できること、旧式医療機器であっても現代テクノロジーへの適応を可能にすること」等に言及し、独創的研究の成果に自信を示す。なお、本研究で構築されたプロトシステムは、関心のあるエンドユーザーが利用できるようにするため、関連するソースコードは全て一般公開されている。
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