創薬、特に新規化合物の探索においては、AIの有用性が日々取り沙汰されている。大手製薬会社やバイオテック企業群からも熱い視線を受けるAI創薬だが、現在の知的財産法の枠組みでは特許の議論が十分でない可能性が指摘されている。
MedCity Newsが2日報じたところによると、Mayer Brown法律事務所が後援するライフサイエンス法シンポジウムのトピックとして、本題が指摘されたという。同シンポジウムは米シートン・ホール大学法科大学院で開催された。ここでは、AI創薬によって生み出された製品に対し、現在の知的財産法の枠組みが権利保護に適さない可能性があるという。このほど、MITが機械学習アルゴリズムによって新規抗生剤ハリシンを導き大きな話題となったが(過去記事)、この化合物は過去に糖尿病の潜在的治療薬として調査された過去を持つ。つまり、既存の糖尿病薬が抗生剤として機能することをAIが発見した場合、誰がどう権利を持つのかに議論の余地が残ることになる。
ソルトレークシティに本拠を置くRecursion Pharmaceuticalsは、機械学習アルゴリズムによって開発した薬剤を既に持つ。また、英オックスフォードのExscientiaはバイエル、サノフィ、大日本住友製薬など複数の製薬会社とパートナーシップを結び、AIを活用した薬剤開発を強力に進めている。急速に発展するAI創薬のもと、技術発達に即応した法的枠組みの在り方が求められている。