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境界性パーソナリティ障害の要因探索へのAI利用

境界性パーソナリティ障害(BPD)の要因は次第に明らかとなってきているが、これらは他の精神疾患との重複もみられ、適切な評価は簡単ではない。米ピッツバーグ大学などの研究チームは、機械学習アプローチにより、思春期におけるBPDの主要な予測因子を探る研究を行っている。

Journal of Child Psychology and Psychiatryに25日公開されたチームの研究論文によると、2,450名の少女からなる縦断データセットを用い、128の変数からBPDを予測する機械学習モデルを構築したという。BPD症状の最適モデルには19の予測因子が含まれており、うつおよび不安症状・セルフコントロール・厳しい罰・乏しい社会性などの項目がBPD予測に大きな役割を果たしていた。

BPDは対人関係の不安定性や過敏性、自己像の動揺性などを特徴とする広範な表現型を持った精神疾患で、ネグレクトや身体的虐待の既往、家庭環境などが関連要因として知られている。精緻な解析を通して個々の予測因子を明らかにすることは、早期介入によって疾患発症を予防できる可能性につながるもので、同分野への新しい研究手法導入には期待が大きい。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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