入院患者ケアにおいて、褥瘡の発生と重症化の予防は重要な臨床的課題である。患者背景に基づく種々のリスク因子が明らかにされている一方、治療内容や施設因子に沿った褥瘡リスクの同定とその精緻な予測は、いまだ遅々として進んでいない。
ドイツ・ドレスデンに所在するカール・グスタフ・カールス大学病院などの研究チームは、ノンパラメトリックなモデリングアプローチとしてBayesian Additive Regression Trees(BART)を用い、14万症例を超える入院患者データから褥瘡の発生予測AIを構築した。研究成果はScientific Reportsからこのほど公開されている。研究成果からは、日常診療データから褥瘡発生リスクを高精度に予測できるだけでなく、換気の程度や1時間以上の麻酔、病棟数など、これまで指摘されることが少なかった新たなリスク因子についても、その重要性を明らかにしている。
著者らは「麻酔は無動状態の代理指標と考えられるため、1時間ごとの体位変換が肝要となる」点を強調している。本予測モデルでは感度が実臨床水準に達しておらず、さらなる改良が望まれる一方、検証すべき項目を新たに浮き彫りとした点でも、本研究は高い評価を得ている。
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