米フロリダ大学の研究チームは、外科手術に際する各合併症の予測情報と、予測に至った要因を明らかにするAIベースのリスク予測システムを開発した。本システムは医師による治療・管理の支援を目指すもの。
MySurgeryRiskと呼ばれるこのプラットフォームでは、電子カルテから患者の臨床データをリアルタイムで自動取得し、術後合併症の高精度な予測情報を医師のモバイル端末に配信することができる。約58,000人の成人患者を含む74,000件以上の外科手術から得られたデータを使用し、予測モデルは構築されている。このほど、JAMA Network Openから当該システムにおける予測精度の検証結果が明らかにされた。属性情報、理学所見、処方歴、検査結果を含む最大135の変数を用い、100症例についてMySurgeryRiskの手術合併症予測性能と、外科医によるマニュアル予測を比較した。神経学的合併症、せん妄、敗血症、人工呼吸器利用など、重要な合併症の予測で外科医と同等水準であることを明らかにしており、特に静脈血栓の予測については、外科医よりも大幅に優れた予測能力を示していた。
平均的な米国人は、一生のうちに7回の外科手術を受けるとされ、毎年約150万人の米国人患者が手術による合併症を経験する。術後合併症は手術の32%で発生し、主要な合併症は11,000ドル程度の追加費用がかかると、研究者らは指摘する。著者らは「MySurgeryRiskシステムは、外科医の技術・経験を補強するだけでなく、意思決定を迅速化することができる。また、手術の計画中により高いリスクを発見することで、手術が本当に適切かどうか、医師患者間の会話を促すこともできるだろう」とする。今後、人工呼吸器のモニターや麻酔器からの情報など、手術合併症に関連する可能性のある追加的データポイントの設定により、さらなる精度向上を目指している。
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