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地表におけるPM2.5濃度は正確に推定されているか?

PM2.5への曝露が健康影響と密接に関連することは明らかにされており、地表におけるPM2.5濃度の正確な推定が欠かせない。地上における監視ステーションがカバーする領域は限定的であるため、多くの関連研究は人工衛星からの情報に基づいたものとなっている。

人工衛星によって捉えたエアロゾルの光学的な厚さ(AOD)から、地上で測定されるPM2.5濃度を機械学習によって推定するのが現在の主要なアプローチと言える。ただし、モデルの不確実性によってPM2.5濃度の推定には相当量のバイアスを内包する可能性が指摘されており、慎重な結果の解釈が求められてきた。このほど、中国・武漢大学の研究チームがChemosphereに公表した論文では、データの空間パターンを考慮した新しい検証方法を提案している。気象衛星ひまわりから送られるAODの経時データを利用し、広く用いられる2つの機械学習モデルで検証を重ねたところ、従来の検証方法では、中国におけるPM2.5濃度の推定パフォーマンスを過大評価する可能性が高いという。

PM2.5の健康被害を回避するためには、1立方メートルあたり70μg超(環境省による)といった高い濃度を示す際に、マスクを着用する、不必要な外出を控える、換気を最小限にするなどの配慮が必要となる。ただし、COVID-19のパンデミック下においては逆に十分な換気が一律に求められているため、状況ごとの適切な対応を促すためには正確なPM2.5濃度予測とその周知が肝要となる。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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