米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者らは、公開データセットおよび非公開データセットを用い、医用画像単独から「患者の人種」を正確に識別できるAIモデルを構築した。研究成果はThe Lancet Digital Healthからこのほど公開された。
チームの研究論文によると、胸部や四肢のレントゲン、胸部CT、マンモグラフィの画像データ単独を用い、白人・黒人・アジア人を高精度に識別するディープラーニングモデルの構築に成功した。当然、画像自体には明らかな「人種を特定可能な識別因子」を付与していないため、人の目には捕捉不可能な「人種間の差異」を画像自体から導いたことになる。なお、本モデルが何をもって人種を識別したかについては明らかにされていない。
MITのインタビューに対し、同大学の電気工学・コンピュータサイエンス部門で助教授を務めるMarzyeh Ghassemi氏は「この結果は驚くべきものだった。なぜなら、医用画像を医用画像として認識できないような部位への適用でさえ、このAIモデルは非常に高い識別性能を維持したからだ」とした上で、このような極めて「超人的な識別能力」は、一般的に制御や規制が非常に難しく、バイアス問題を含めた有害性の懸念が深化するとしている。
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