臨床検査技師はデータサイエンスに向かう

検体検査を主とした臨床検査を担当する「臨床検査室」は、健康データの収集・保存・解析を担う実務家で構成され、近年はその専門性にデータサイエンスが取り込まれようとしている。世界医学検査学会(IFBLS)は、臨床検査技師をMedical Technologistではなく「Biomedical Laboratory Scientist」と呼称することを推奨し、生体情報に関する科学者としての側面を強調してきた背景もある。

American Association for Clinical Chemistry(AACC)は臨床検査医学を通じた健康向上を目指す国際団体で、AACCが2016年に創刊したThe Journal of Applied Laboratory Medicineは、臨床検査医学の応用研究を紹介する査読付き国際ジャーナルとして知られる。今月発刊の特集号では、臨床検査室がどのようにデータサイエンスを取り込んでいるかを示す種々の研究成果が公開されている。

編集者で検査医学におけるデータサイエンスの専門家でもあるNiklas Krumm氏は、「臨床検査室は健康データ分析における主導的な役割を担ってきた」とした上で、本特集が「臨床検査室による直近の顕著な進歩」にスポットライトを当てていることを強調し、広く関係者の目に触れ、理解の進むことを期待している。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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