市民によるセルフトリアージは、主にGoogle検索に依存している。一方、その多くが成功しないのは、健康情報の高度専門性と複雑さ、オンラインリソースの質の低さによるところが大きい。2022年11月に公開されたAIチャットボットのChatGPTは、医療利用にも潜在的な有効性を内包している。
ChatGPTは「Generative Pre-Trained Transformer 3(GPT-3)」をベースに、インターネット上の非構造化テキストを用いて訓練された汎用AIモデルである。特徴はそのサイズで、モデル構築時、数百ギガバイトのテキストデータを基に導かれた最大級のAIモデルでもあった。ChatGPTは公開5日間で100万以上のアカウントが作成され、実に多様な領域の質問に対して、詳細で精度の高い回答を生成できることから大きな注目を集めることになった。
ハーバード大学のAteev Mehrotra教授らは、既存のオンライン症状チェッカーとChatGPTの診断精度比較を行っているが、前者51%に対し、後者87%と有意に優れていた。また、ChatGPTの診断精度はアップデートにより経時的な改善をみていることも指摘している。Mehrotra教授らは「ChatGPTを含む対話型ツールによる診断支援の可能性」を高く見積もる一方、過信やバイアス、エラーなど、未知の課題抽出とその対応が必ず必要となることを強調している。
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