マンスリーアーカイブ 12月 2021

どのCOVID患者をICUに入れるべきか – 一貫した判断を支えるAIシステム

カナダ・ウォータールー大学の研究者らが設立したスタートアップ「DarwinAI」は、バイタルサイン・血液検査結果・病歴など200以上の臨床変数に基づき、「集中治療室(ICU)入室の必要性」を予測するAIシステムを開発している。これは、ICUでの治療が必要な患者を効果的かつ効率的に特定することで、COVID-19パンデミック時において限られたリソースを最大限活用するための、医師による医学的判断に資する臨床支援システムとして期待を集めている。 同大学が6日明らかにしたところによると、このAIシステムの根幹となるニューラルネットワークは、ブラジル・サンパウロに所在するシリオ・リバネス病院において「COVID患者がICUに入室すべきかどうか」を医師が判断した400の事例データを用いて学習したという。既知の臨床変数から95%以上の精度での予測を実現する本システムは、特に説明力の高い変数を個別に提示することで、医師による医学的判断をより強固にすることができる。 チームは「本技術が医師に取って代わるものではなく、医師が迅速に、かつ多様なデータに基づいた適切な意思決定を行うことを支援する」点を強調しており、医療資源の活用を最適化し、治療を個別化するため、臨床医の専門知識を技術的に強化することを狙い続けるという。現在、この技術はCOVID-Netと呼ばれるオープンソースプロジェクトに取り込まれ、大規模な臨床意思決定支援システムの一翼を担っている。 関連記事: 小児入院患者に「ICUケアが必要となるか」を予測するAIモデル Mona – ICUケアのDXを目指すAIデバイス AI退院プログラムが空床調整を最適化 新型コロナとAI:医療AIで新型コロナウイルスに立ち向かう最新テクノロジーまとめ

RSNA 2021 – 放射線科におけるAI導入の現状と課題

第107回北米放射線学会(RSNA 2021)は、11月28日から12月2日までの5日間に渡って開催された。昨年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い完全オンラインにて行われたが、本年はイリノイ州シカゴでの現地開催となり、業界を先駆ける新技術や最新研究成果の公表に大きく沸いた。このRSNA 2021のパネルセッションから「放射線科におけるAI導入の現状と課題」についてを取り上げ、ここで紹介したい。 アカデミアおよび産業界のオピニオンリーダー5名が、放射線科におけるAI導入の現状と課題、今後の採用戦略についてを議論した。ここで、シカゴ大学の放射線科教授であるPaul J. Chang氏は、AI導入の現状を「幻滅の谷」と表現している。Chang教授はGartner社のハイプ・サイクルの図を使って解説したが、これは「ハイプがエスカレートした後に幻滅が訪れる」というもの。企業やベンチャーキャピタルの資金は放射線科のAI技術に多量に注がれているが、実際のユーザーとなる医療機関での採用状況は最適とは言えない。Chang教授は「現状我々は、数百万ドルが投じられる様子を日々目の当たりにするが、これらAIシステムの大規模な採用はあまり進んでいない。人々はまだ、水に足を浸しているようなもので、あちこちで幾つかのアルゴリズムをテストしているだけだ」とし、AI導入を加速させるためには、放射線科のリーダーやその他の医療関係者が、「この技術が経済的にも意味のあるものであることを病院幹部に納得させる必要がある」ことを指摘する。 実際、Radiology Partners社の放射線科医でAssociate Chief Medical OfficerのNina Kottler氏は、自身のグループが開発した臨床ワークフローの改善アルゴリズムが、十分に大きな投資収益率(ROI)をもたらしたことを同セッション内で説明している。また、放射線科AIの導入について示唆的であったのは、エモリー大学の放射線科医で、AI研究者でもあるHarvi Trivedi氏のコメントだ。氏は主要な医療機関の意思決定者に対するインタビュー調査によって、明確に「組織がより多くの患者を獲得できるAIアプリケーション」が好まれており、これは「放射線科スタッフの業務効率を改善するアプリケーション」よりも魅力的な投資である、と捉えられていることを明らかにしている。このことは、例えば患者の多くにフォローアップイメージングを促すようなAIアプリケーションは臨床導入が加速し得ることを示唆する。さらに、AI技術の向上に伴い、現場は単一ソリューションを魅力的と感じなくなっていることにも言及し、今後さらなる統合システムの構築を検討する必要があるとしている。 放射線科は他科に先駆けてAI開発の進んだ領域として認知されるが、2021年現在でも有効なシステムの開発と普及には複数の壁があり、プロバイダーと規制当局、現場の模索は続いている。 関連記事: AIの存在は「医学生が放射線科医を志す」ことを妨げる AIによる放射線治療計画は臨床に受け入れられるか? 米国放射線科医の約30%がAIを使用 – 2020年ACR調査

シンガポールNUHS – AIシステムの臨床実装を急進

シンガポールにおける3つのナショナルヘルスクラスターの1つ、National University Health System(NUHS)はこのほど、政府が支援するNational Supercomputing Centre Singaporeと協力協定を締結し、2022年半ばまでに公的医療機関におけるAIプログラムを支援する「スーパーコンピューティング・インフラストラクチャ」を構築することを明らかにした。 NUHSが3日明らかにしたところによると、PRESCIENCEと呼ばれるスーパーコンピューティング・インフラストラクチャは、患者個々の病状変化を予測し、深刻な変化が起こり得る可能性を事前に医療者にアラートするAIモデルを構成する。NUHSの最高技術責任者であるNgiam Kee Yuan博士は「ビッグデータを使ってAIモデルを訓練するには通常数日かかるが、この新しいスーパーコンピュータを使えば、トレーニング時間を数時間に短縮できるとともに、医療スタッフやパラメディカルスタッフによる患者管理を最適化することで、本質的なケアの質を向上させることができる」と述べる。 NUHSは通信大手のSingtel社とも提携を公表しており、同機関内の手術室や病棟にマルチアクセスのエッジ・コンピューティング機能を備えた5G屋内ネットワークを展開するなど、AIを核とした医療のデジタルイノベーションを急速に推し進める。アジアにおける先進事例のひとつとして、今後の成果にも期待が大きい。 関連記事: 英NHSへのAIソリューション大規模実装に向けて 米マウントサイナイ医大 – AIヘルス学部を新たに創設 AIの存在は「医学生が放射線科医を志す」ことを妨げる 「da Vinci Research Kit」が工学研究にもたらした恩恵と今後への期待

ラジオミクスとAI – 大腸がん保存的治療への反応性

米国では2000年代の大腸内視鏡検査の普及に伴い、大腸がんによる死亡率は有意な減少をみた。一方で死亡者数の実数としては、未だ男女ともに高頻度ながん腫として知られている。米国がん協会の公表によると2021年には直腸がんの新規症例が4万5千件、結腸がんはその2倍以上になるとする。有効なスクリーニング手法・診断手法が確立される一方で、現在の主要な問題点は「どの大腸がん患者が化学療法や放射線療法に良好な反応を示すか」を明らかにする信頼性の高い手法が無いことにある。 保存的治療への反応性を高精度に予測できないことは、外科的手術を中心とする侵襲的治療を選択する可能性を高めるため、常に過剰治療のリスクを内包することとなる。米ケースウェスタンリザーブ大学の研究チームは「MRIスキャン画像から化学療法単独での治療反応性を評価するAIアルゴリズム」の構築を進めている。3日、同大が明らかにしたところによると、米国国防総省の「Congressionally Directed Medical Research Programs」から3年間で75万5,000ドル(約8500万円)の助成を受け、本技術の実用化を目指すという。研究チームは、同大学関連病院のほか、クリーブランドクリニック等の支援を受け、数千枚のデジタル画像から有効なモデルの構築と臨床評価を行う。 研究を率いる生物医工学のSatish Viswanath教授は「あまりに多くの症例で過剰治療が行われている」とした上で、不要な外科的手術は侵襲性の問題だけでなく、経済的負担や術後QOLの低下、感染症リスク、精神疾患リスクなど、多面的な悪影響を来す可能性を指摘する。AI技術の進展はラジオミクスの高度化を推し進め、多様な疾患群において価値ある成果を導いているが、近年では画像データに基づいて治療反応性を評するAIシステムについての研究成果が相次ぎ、精密医療の観点からも注目が大きい。 関連記事: MRIxAIによる「非侵襲的がん治療反応性評価」 がん細胞から治療反応を予測 クローン病の治療反応性を予測する機械学習モデル 肺がん免疫療法への治療反応性を予測するAIモデル 進行性メラノーマに対する免疫療法での治療反応を予測するAI研究

遺伝子情報から胸部大動脈瘤リスクを評価

胸部大動脈の肥大や動脈瘤は、動脈壁の膜がはがれる「大動脈解離」を引き起こし、突然死につながるリスクがある。大動脈の破綻前には患者自身に自覚症状のないことも多く、これまでは画像検査で計測される「大動脈の直径」によるリスク評価が試みられてきた。米マサチューセッツ総合病院(MGH)の研究チームは「AI手法で大動脈径と関連する遺伝子変異情報を解析し、大動脈瘤リスクを推定する研究成果」を発表した。 MGHのプレスリリースでは、学術誌 Nature Geneticsに発表された研究成果を紹介している。本研究では、英国の長期大規模バイオバンク研究である「UK Biobank」から、約4万人に及ぶ対象者データを利用し、460万枚の胸部MRI画像から上行および下行大動脈の直径を評価するAIモデルの学習を行った。UK Biobankには大動脈径の測定値が提供されておらず、収集した全ての画像の大動脈径を読み取る大規模な処理としてディープラーニング手法を用いた。その後、対象者の遺伝子情報の解析により、上行大動脈の直径に関連する82の遺伝子領域と、下行大動脈の直径に関連する47の遺伝子領域を特定した。これらの結果から遺伝子変異を集約した「polygenic score(多遺伝子スコア)」を作成したところ、「スコアが高いほど大動脈瘤診断の可能性が高い」という有意な関連がみられた。 研究成果はリスクのある個人を特定するのみに留まらず、新たな予防法や治療法のターゲットとなる可能性がある。筆頭著者のJames Pirruccello氏は「特定した遺伝子変異は、大動脈瘤の新たな創薬標的をみつける出発点になるだろう」と語っている。ディープラーニングやその他の機械学習手法が、複雑な画像検査結果の科学的分析を加速させる裏付けとしても、本研究の価値は極めて高い。 関連記事: Deep Learningで脳動脈瘤の発見を手伝う – 米スタンフォード大 「HeadXNet」 経カテーテル大動脈弁置換術後のペースメーカー植込みを予測する機械学習アルゴリズム AIにより「遺伝子変異の病原性」を定量 3D画像処理のSimpleware – 心臓のセグメンテーション機能を実装

MRIxAIによる「非侵襲的がん治療反応性評価」

米マサチューセッツ総合病院の研究チームは、新規がん治療による「腫瘍細胞死の初期徴候」をMRIスキャンから捉える全く新しいAI手法を開発した。研究成果は、Nature Biomedical Engineering誌からこのほど公開されている。 チームの研究論文によると、これは脳腫瘍ウイルス療法の治療効果判定を狙ったものという。近年実用化された治療用ウイルスは、正常組織を残しながらがん細胞を選択的に死滅させることができ、悪性脳腫瘍の治療において大きな注目を集めている。一方、ウイルスを用いた治療法の最適化には、治療反応の高頻度な経時的モニタリングが必要となる。研究チームは、ディープラーニングによってMRI画像を定量することで複数の組織特性を明らかにし、ウイルス療法開始後48時間からモニタリング可能な、pHマップおよび分子マップの作成に成功した。新手法は非侵襲的検査としての優位性を持つほか、既存手法よりも早期の治療反応モニタリングを実現している。 著者らは「この非侵襲的モデルを用いてがん治療効果を評価することで、患者の転帰を大幅に改善するとともに、精密医療を加速させることができる」とした上で、同様の手法が脳卒中や肝疾患など、他疾患へも容易に拡張可能であることにも言及する。今回の研究ではマウスの脳腫瘍モデルを用いた検証を行っているが、研究チームは今後、実際の脳腫瘍および脳卒中患者を対象としたモデルの機能拡張を進めるとしている。 関連記事: がん細胞から治療反応を予測 唾液タンパク質データベースが個別化医療を変革する クローン病の治療反応性を予測する機械学習モデル がん治療を変革する「ネオアンチゲンの免疫反応予測AI」 neuroQWERTY – パーキンソン病をキーボードタイピングでモニタリング

韓国HoneyNaps社 – 不眠症デジタル治療プラットフォームを開始

韓国のヘルスケアスタートアップ「HoneyNaps」が開発した、詳細な睡眠ステータスを解析するポリソムノグラフィ用AI「SOMNUM」を以前に紹介した(過去記事)。同社は不眠症の解析・診断に加え、デジタル治療事業の開始を発表している。デジタル治療はソフトウェア医療機器(SaMD)によって、薬物療法など従来の治療法を代替あるいは補完することが期待される手法で、近年市場の成長が著しい。 HoneyNapsの1日付リリースによると、同社が開始したデジタル治療プラットフォームは、睡眠疾患診断AI「SOMNUM」、非接触型睡眠分析・コーチング「My SOMNUM」、不眠症デジタル治療薬「SOMNUM Medella」で構成されている。不眠症のデジタル治療は、認知行動療法をベースとして、薬物療法のみに依存しない不眠症治療を目指している。個人の睡眠データを正確に解析し、個別化された継続的なデジタル管理で行動変容を促すことで、睡眠障害からの回復効果を高めるという。 HoneyNapsの担当者によると、デジタル治療薬SOMNUM Medellaは、現在米国FDA承認による審査中であり、大手製薬会社とのライセンス契約や国際展開に向けた交渉を行っているとのこと。テクノロジーによる睡眠改善を狙う主要なプレイヤーとして、今後の動向には業界からの注目が集まっている。 関連記事: 韓国HoneyNaps社 – 睡眠ポリソムノグラフィ解析AI「SOMNUM」を発売 睡眠障害をAIで評価する時代へ Sweetch – AIによるデジタルコーチングプラットフォーム ヘルスケアのあり方を変革する「デジタル治療」とその課題 アクションゲームがADHD向けデジタル治療としてFDA認証を取得

AIバーチャルアシスタントによる地域ケア向上プログラム

テルアビブとニューヨークに本拠を置くヘルステック企業「MyndYou」について以前に紹介した(過去記事)。同社はAI搭載バーチャルケアアシスタント「MyEleanor」によって、患者の健康状態の変化を検知し、医療チームに問題を報告、受診予約を立てるなどの機能を独自プラットフォーム上で提供している。 MyndYouのリリースでは、同社とニューヨーク=ブロンクス拠点の医療機関 Essen Health Careとの提携による、「MyEleanor利用で患者とのつながりを強化するプログラム」を紹介している。Essenの救急医療センターを直近で受診した患者や、慢性疾患患者に対し、MyEleanorが電話連絡で情報収集を行うものである。Essenのスタッフのみでは困難な、時間当たり数百件、一日当たり数千件レベルの電話問い合わせのなかで、MyEleanorは患者の会話内容の変化を分析し、服薬不履行や転倒リスクといった健康問題の可能性を捕捉し、ケアチームに警告を発する。プログラム開始から数ヶ月の結果として、MyEleanorからのコールの12%が臨床的処置につながり、20%が診察予約に結びつき、5%が退院後プログラムに紹介され、12%が医療機器・消耗品の配送調整に至ったという。 Essen Health Careが展開するブロンクス地域では、患者の多くが経済的に恵まれない状況にあり、多数はスペイン語しか話せないなど、地域固有の背景もある。MyEleanorは英語とスペイン語の両方で通話を行うことができ、翻訳者の必要性も軽減したという。プログラムは「患者と医療従事者のコミュニケーションチャンネルをオープンにすること」を目標とし、コミュニティにおける効率的なケアを達成しようとしている。 関連記事: 高齢者サポートAIの「MyndYou」400万ドルの追加資金を調達 Hyro – バーチャルアシスタントによる「COVID-19ワクチンに関する問い合わせ対応」 Care Angel – 音声対応のバーチャル看護アシスタント HandsFree Health – バーチャルヘルスアシスタント「WellBe」を全米展開へ WHOにとって最初のバーチャルワーカー「Florence」

COVID-19のリアルタイムリスク評価アプリ

米ヒューストン大学の研究チームは、個人に対して「COVID-19の感染リスクを最小限とした行動」を促すための、リアルタイムな感染リスク評価システムを開発し、スマートフォンアプリとしての提供を開始した。 同大学が明らかにしたところによるとこのアプリは、目的地・移動手段・移動時間帯などの入力値に対して、COVID-19の感染リスクを最小とした上での移動経路等を提案することができる。システムは公共交通機関や食料品店、レストランなどの混雑状況などだけでなく、予防接種率や文化的要因(例えば、あるエリアでのフェイスカバー率、つまりマスクをしてもよいと思っている人の割合など)を考慮し、ユーザの希望に沿った最も安全な移動経路を提供するというもの。 これまでも、スマートフォンを利用したCOVID-19の追跡・接近情報の提供アプリは多数存在しているが、これらは大多数の住民がアプリを利用し、かつそのほとんどが必要な情報を提供した場合のみに効果を発するという限界があった。本アプリは既存システムの限界を排するのみならず、利用拡大はCOVID-19のさらなるパンデミック抑止に資する可能性があるとして、アプリの利用促進を求めている。 関連記事: 呼気から新型コロナウイルス感染を高精度識別 標準血液検査項目から驚異的精度でCOVID-19を識別 インフルエンザとの類似性からCOVID-19の広がりを予測 COVID-19の感染力増大を予測するAIツール WhatsAppのAIチャットボットによるドバイのコロナワクチン予約

疾患発症に伴う細胞変化を捉えるAI技術

米ジョージア医科大学の研究チームは、疾患発症によって「細胞がどのように変化するか」を迅速かつ客観的に把握できる新手法を開発した。研究成果はPatternsからこのほど公開され、新しい画像解析パイプラインの有効性について多大な期待が集まっている。 チームの研究論文によると、TDAExploreと呼ばれるAI駆動の画像解析手法では、顕微撮影された画像にトポロジーの概念を取り入れることで、疾患発症に伴う細胞内変化とその発現部位を正確に捉えることができるという。ここでは「特定タンパクの移動や密度変化」の捕捉を、「パッチ」と呼ばれる断片に分解して学習する「画像トポロジーデータ解析」によって実現している。また、著者らは「システムの有効性はその学習過程にある」とし、識別・分類などのタスクに対して必要となる学習データが従来の10分の1以下程度にも抑えられる可能性に言及する。 米国立衛生研究所(NIH)の支援を受けて行われた本研究は、論文上で独自アプローチの仔細が解説され、科学者らによる追試と適用拡大を促している。 論文: TDAExplore: Quantitative analysis of fluorescence microscopy images through topology-based machine learning 関連記事: 組織画像への仮想染色 fMRI画像から軽度認知障害を超高精度に分類 医療画像から人種を読み取るAI 新しい心臓画像診断「VNE」 – 造影剤不要の心筋評価へ 心臓画像評価を革新する「多視点三次元融合心エコーシステム」

「NVIDIA FLARE」オープンソース化 – フェデレーテッドラーニングの推進へ

NVIDIA社が積極推進する「Federated Learning(分散協働学習)」は、匿名性を維持しながら、分散した複数機関からのAI学習データの共有と単一モデルのトレーニングを行う手法として、本メディアでも複数回に渡って紹介してきた(過去記事)。 NVIDIAの29日付リリースでは、同社のフェデレーテッドラーニング用ソフトウェア開発キット「NVIDIA FLARE(Federated Learning Application Runtime Environment)」のオープンソース化を紹介している。NVIDIA FLAREは分散協働学習の基盤エンジンで、医療画像・遺伝子解析・がん・COVID-19研究などに関連したAIアプリケーションに使用されている。オープンソース化により、研究者・開発者らはツールの選択肢が増え、先端AI開発がさらに推進されることが期待される。また、オープンソース医用画像処理フレームワークMONAIなど、既存のAIプラットフォームとの統合も継続される。 ハーバード・メディカル・スクールの放射線科准教授Jayashree Kalapathy氏は「NVIDIA FLAREのオープンソース化は、患者プライバシーへの配慮からデータ共有が制限されてきたヘルスケア分野において重要な役割を果たすだろう。医用画像研究のフロンティアが押し広げられていくことに興奮を覚える」と語る。リリースに合わせNVIDIAは、11月28日から12月2日まで開催の北米放射線学会(RSNA 2021)で、同社のヘルスケアへの取り組みについて特別講演を行っている。 関連記事: NVIDIA Clara Federated Learning – 分散協働学習が生む新たな可能性 COVID-19の転機を予測するフェデレーテッドラーニング研究 NVIDIA A100がAWSに登場 – アクセラレーテッドコンピューティングの新たな10年へ NVIDIAとGSKのパートナーシップ –...

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